2-8. 吸収されない作戦

8番目、最後の作戦となりました。なんと吸収されなくても機能を発揮するという作戦です。この成分はあの有名な食物繊維です。細菌の細胞壁は多糖で覆われています。ヒトの腸表面細胞は、ビフィズス菌や乳酸菌など有用菌の細胞壁の多糖と、O-157などの悪玉菌の細胞壁の多糖を区別して認識し、腸内から細菌すべてを排除するという過応答を避けながら、免疫バランスを保っていることが、ここ数年の研究で明らかになってきました。この細菌の細胞壁の多糖が食物繊維です。

キノコに豊富な食物繊維β-グルカンには、免疫応答バランスを調節するという機能が認められています。なぜ機能性を発揮するのかという説が2つあり、そのうちのひとつが、体内に取り込まれることなく、消化管の表面細胞に作用して何らかのシグナルを体内に伝えているという説です。これらはまだ完全に解明されていません。

海藻のマコンブの食物繊維の一つであるF-フコイダンは、まったく消化吸収されません。にもかかわらずヒトの血中のエイコサノイド分泌を調節して血栓症を予防するという明確な作用を示しています。

キノコ2-1. 局在化作戦
2-2. マスク作戦
2-3. 寄せ付けない作戦
2-4. 問題ない作戦
2-5. 変身作戦
2-6. 脱皮作戦
2-7. 組み合わせ作戦
2-8. 吸収されない作戦

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