2-7. 組み合わせ作戦

食品成分の機能性を研究する場合、研究者はその有効成分をできるだけ純粋に調整して、動物あるいはヒトに与えます。そして多くの場合、もとの粗雑な混合物だったら効いたのに、純粋にしたら効果がなくなってしまった、という結果になることが多いのです。これは消化管の選別機能のなせるわざです。消化管の表面細胞の抱合酵素活性はきわめて高く、1種類の物質を多量に与えても、それが「異化できない」物質ならば、そのほぼすべてを抱合して排泄します。

vegetablesところが普段の食事では「異化できない」物質を同時にたくさん摂ることになります。たとえばキャベツを食べると、フラボノールのケルセチンとケンフロール、フラボンのルテオリンの3種類を同時に摂ることになります。以下は金沢教授の研究結果からの推測です。ヒトの腸細胞の抱合酵素は60種類ほどですが、ヒトが食べる「異化できない」物質は数千種以上ですので、一つの抱合酵素が扱える物質には守備範囲があるようです。したがってケルセチンとケンフェロールとルテオリンを同時に摂ると、ケルセチンはほぼすべて抱合されて排泄されるが、ケンフェロールとルテオリンの一部は抱合を受けずに体内に取り込まれるという現象が観察されました。抱合を受けていないアグリコン形態のフラボノイドは強い機能性を発揮します。フラボノイドを複数同時に摂取すると、機能性が期待できるというわけです。

2-1. 局在化作戦
2-2. マスク作戦
2-3. 寄せ付けない作戦
2-4. 問題ない作戦
2-5. 変身作戦
2-6. 脱皮作戦
2-7. 組み合わせ作戦

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